アザルス暦xxx年

酒場の喧騒の中でハープの音が奏でられる。


吟遊詩人が、この国で流行っている詩を歌い始めると
皆その詩に耳を傾け始める。


その光景は、建国のお祭り前夜であっても変わりは無かった・・・。


この詩は、とあるポークル達の国に新たな王国が誕生する詩だ。


そこには元々小さな王国があったが、王位継承のイザコザにより国が荒れ
さらに王位についた者が圧政の限りを尽くし、民を虐げていた独裁国だった。


そこへ東の国から海を渡り、その王を倒したユニオンがあったという。


新たなる国は、そのユニオンのリーダーである『ポークルが興した国』
というところまではどの詩人も同じ内容だが


そのユニオンリーダーのポークルは
『前王の生まれ変わりだ』とか『その王の息子だ』とか『その国にいた義賊』とも詩われており


新王の出生や、どの様なユニオンだったなどは、詩人によりバラバラだ・・・



その物語を紡ぐ吟遊詩人達の詩の中で
ただ一つだけ共通している事は、そのユニオンの名前だけである。



この詩を聴くと、いつもここのマスターは機嫌が良くなる。


今日はさらに機嫌が良い様で、皆に酒を振る舞う


「マスター最高だぜ!」
「くろにかさん、ごちそー様です!」


などと常連客から喝采を浴びている。


おかげで皆大騒ぎし、ここ【うさぎのまんじゅう亭】が
建国50周年の『くけこ祭り』の前夜祭会場となった。
		

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