一刻が経ったぐらいだろうか。辺りをフラつき周辺の建物をある程度頭に入れた頃
ちょうど向こうからィシウがやってくるのが見えた。
ちょうどいい!!早速宿でゆっくり休むとしますかね・・・
宿泊手続きを済ませるとィシウは客室へ向かう階段を一段登り
振り返ると外へアゴをしゃくった
「お前はあっちだよ」
その先には馬小屋があった。
「まったく気が利かないんだから!!」
愚痴ってみたが返事はウマの声だけ。
今日は同意をしているのかさっぱりわからないウマの鳴き声を聞きながら寝る事になった。
「ギャハハハハ寝ながらって、いくらなんでも食意地が張りすぎだ、あははは」
敷き藁を口にいれたまま寝ていた様で起きた姿が可笑しかったらしい。
その姿を見たィシウは苦しいと言いながら転げ回っている。
いっその事この短剣で楽にしてやろう・・・
剣を抜いた音に気がつき、笑を堪えながら今後の説明を始める。
「ま、まずは路銀を稼ぐ必要があるのと、魔法局の信頼を得て情報を流して貰えるようにならないとダメだ。
くっくっく・・・魔法局はこの区画の地下にある下水道に罠を作って盗賊団を閉じ込めていたんだが
最近になってその罠が破られてそいつらが悪さをしてるらしい。ギルドから討伐依頼が出てるからそれを解決して一緒にお宝も頂こうっていう訳さ」
そうと決まれば、早速冒険者ギルドで、2人のパーティー申請をして
地下水道の依頼を受ける事にしよう!!
そう提案すると、ィシウは同じマークのついた板切れを2枚取り出し片方をこちらに放った。
パーティー申請をするともらえる手形である。
「明日出来ることは今日やれなんてバカのする事だ。賢い奴は昨日済ませてるんだぜ!」
どうだ!と言った具合の表情が癪にさわったので
ハイハイとあしらいながらワラを口に咥えてやった。
案の定効果は抜群で、ィシウはしばらく笑い転げていた。
その後遅めの朝食兼昼食を済ませた。
さっきのワラが効果的過ぎて2度ほどスープを吹き掛けられる結果となってしまったが・・・
腹ごしらえも済んだので準備を整えカリグラーゼの地下へ足を踏み入れる。
冒険者ギルドからも色々な依頼を受けてきた。害虫の駆除依頼から盗賊団退治、そこに住み着いたコボルトつまり犬の姿をした獣人の排除まで
手当たり次第に受けてきた。
これで盗賊討伐の目的を達成する頃には、夕飯も豪華になり蓄えが少しできるだろう。
下水道の中には、大量の害虫の他にやはり盗賊達の根城があり数名の見回りがうろついていた。
奴等は下水道にある全自動虫取り機の機能を改造してバリケードを作っておりこれを正常に戻す必要があった。
その為には、どうしても捕獲部屋に立入る必要があった。
部屋の中がどうなっていたか言いたくないし
二度と思い出したくもない程、カサカサしていた・・・
2人でギャーギャーいいながら装置を元に戻した。
これで害虫騒動も同時に片付くだろう。下水の臭いや汗だくになった事よりも
色々なところについた変な色をした謎の汁の方が不快であったのはいうまでもない。
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