騒がしい物音で目が覚めた。
普段であれば、怖い顔をした召使い達に起されるのだが・・・
外を見ようと窓に近づいた途端、凍り付いた。


燃えている・・・


日の光ではない明るさが外を覆っている。
愕然としている中、甲冑の音が響き
大きな音と共に寝室の扉が開け放たれた。


そこには騎士団長の姿があった。


この国の騎士達は
きらびやかな白銀の鎧に身を包み
戦いになると結束も固く、守備の面からも堅固であった為
「ダイヤモンドの騎士」と呼ばれていた。


が、今の彼の姿はみる影もなく、どす黒い汚れにまみれ
肩で息をしている・・・だが、怪我をしている様子はない。


「王子!早くお逃げ下さい!!」
彼の後ろから、いつも自分を起こしてくれる召使いが
クローゼットへ駆け寄り、隠し通路の扉を開いた。


「この先の水路で部下が待っています!さあ早く!」
騎士団長に促され、着の身着のまま走り出した。

地下は凍えるほど寒く、起きたばかりの身体から体温を奪っていった。


水路には一艘のカヌーが止められ、汚い身なりの人物が待っていた。
しかし顔に見覚えがある。

騎士団の二番隊長であった、どうやら見つからないよう
変装をしていたらしい


カヌーはゆっくりと陸から離れ、対岸の森へ向かって行った。


森へ向かう間、ある事情により王都を追放され
辺境を治める事になっていた王位継承権第三位の叔父が
王座を狙い起こした騒動だ。と、騎士団長から聞いた。


そして今後は、私を支持している辺境伯を頼り
戦力を立て直し反乱軍を一掃するという事も・・・


対岸につくと二頭の馬が繋がれた木があった

片方に乗せて貰い、音を立てないよう出発の準備を整える。
私は、乗せてもらった馬にしがみつき震えていた
それは寒さのせいなのか、恐怖のせいなのかは解らない。


心地よい重量感と共に暖かさが身体を覆う。
騎士団長が羽毛の羽織をかけてくれていた。
「辺境伯のところまで、2日程かかりますが必ずお連れいたします。」
いつもの優しい声が心を暖めてくれる。


次の瞬間!隊長の顔が歪み大声をあげて振り返った!!
「貴様!何故だ!!王子お逃げくださいっ・・・」
と同時に隊長は、私が乗っていた馬を叩き走らせる。
必死に馬にしがみついた・・・


体制を整え振り向くと、1つの影が倒れている影に何かを振り下ろす所だった・・・


空がだんだんと白けてきた。何故こうなったのか・・・

理由は解る。
ただ、誰の責任なのか・・・と意味のない事をぐるぐると考えていた。


何も不自由なく暮らしていた、ただそれだけだった
それが、いけなかったのだろうか。

王の座についた父の責任なのだろうか。

それとも追放されながら、王座に目が眩み簒奪を謀った
叔父の責任なのだろうか。


自分にはもう何もわからなかった。
ただ、たくさんの命と引き換えに、今自分がここにいる。それだけは理解できた。


自分はそんなに価値があるのだろうか・・・
だが、生きなければ、逃がしてくれた人達を犬死させた事になる。


その思いだけが強くなっていた。


その矢先、夜鳥の羽ばたく音と共に身体が宙に浮いた
「あっ・・・」
完全に油断していた。

走らせていた馬が、夜鳥の羽ばたく音に驚き、いななくと共に体を大きく仰け反らせた。


考え事をしていたせいでとっさの対応ができなかった・・・


宙に浮いた身体は、そのまま木の幹へ打ち付けられ、鈍い衝撃と共に意識を失った・・・
		

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